耳をすませばの舞台は今や過疎地へ~多摩ニュータウン・聖蹟桜ヶ丘探索~
スタジオジブリの名作「耳をすませば」のモデル舞台を知っているだろうか?
東京都多摩市の「聖蹟桜ヶ丘」である。「せいせきさくらがおか」と読む。まるでライトノベルのような駅名。
アニメスタジオの多い三鷹・杉並から近いためスタジオジブリの他作品やFate/stay nightなどのアニメ作品のモデルにもよく使われている。
この聖蹟桜ヶ丘一体が少子高齢化の影響で寂れ始めていると聞き付けたので、「耳をすませば」の舞台を辿りながら郊外住宅の現状を探りたい。
「耳すま散歩」といって決められたルートがあるようだ。駅前のスーパーの二階エレベーター前にマップが置いてある。(場所がわかりにくい。)
開幕早々、長々とした坂を登るところからスタートする。
いろは坂。主人公の雫が帽子をかぶって歩いている坂。
とにかく坂が続く。途中には階段も。
この急斜面はすごい。ここは本当に住宅街なのか?
とすら感じさせる。高齢者はどうしているのだろうか。
ここが映画にも出た有名な階段らしいけれど、正直この階段が出てきた時は「まだ登るのか…………」という辛さの方が大きかった。
野球少年が雫にフラれた神社
バスロータリー。ここが散歩のゴール地点である。ここまで来るのにゆっくり探索しながら歩いて30分程度かかった。
ロータリーには「喫茶店ノア」があり。耳をすませばのクッキーが売っている。店内はジブリグッズがたくさん。カントリーロードが流れていて、とても懐かしい雰囲気の店だ。店員のおじいさんも気さく。
ここで来訪者のノートを読んでみると「大阪から来ました」というコメントまで。確かに女性やカップルの観光客がちらほらいた。観光スポットという意味ではこれからも賑わうだろう。
公園の夜景。雫と聖司が結ばれるシーンに似ているか? 私は住宅街の部屋の明かりが好きで、手前のオレンジっぽい明かりが特に良い。
地球屋のポスト。残念ながら地球屋に似ている喫茶店は無くなっていた。
写真を見て気付いたことがあっただろうか。
一つ目は休日なのに住民の姿が少ないことである。家から出てきていないだけなのか。
二つ目はとにかく坂が多い。階段も多い。
若い内はまだ良いだろうが、足腰の悪い高齢者には住みづらいだろう。バスを使うにしても早朝や深夜は不便である。
少子高齢化の影響か。更地や売却物件もちらほらあった。
この一体は多摩ニュータウンと呼ばれており、戦後の高度成長期に住宅不足から開発された日本最大級の住宅街である。
かつてこうした郊外に戸建ての住宅と家庭を持つことは、日本人が憧れる夢だった。
今や高齢化が進み空き家が増えて、ネットの記事によっては「ゴーストタウン」と揶揄するものまである。都心回帰の流れで、より利便性を求める世帯は引っ越していくという。故郷に帰った人もいるのかな。♪カントリーロード~。
既に23区郊外でも寂れた団地がじわじわ出始めている。東京の人口増加のピークは2025年と予想されている。それから雪崩れるように人口は減少していく。
首都東京ですら少子高齢化による過疎化は避けられないのである。