白と黒の境界線

日々徒然をネットの隅に残す記録簿 気まぐれに更新中

いい人ばかりが損をする。そんな世の中じゃ…

「いい人」=人当たりがよくて、他者のことを考えられる穏健な人
いい人の定義はそれぞれだろうが、前職にはこういった人たちが多かった。

サービス業という名の社会奉仕活動。
そんな仕事に就きたがる人は、程度の差はあれ「社会のために働きたい!」という奉仕精神に溢れた人が多い。自然と「いい人」に出会う確率が高まる。

前職の待遇は悪かったが、人には恵まれていた。
仕事ができる、できた人格である、教養がある、有名大学卒、輝かしいキャリアもある。
それなのに何故こんなブラックにいるのだろうという人もいて、不思議でならなかった。

ある上司に「何故ここで働いているのか」と問うたことがある。
この道10年以上のキャリアを持つ定年間近の上司だ。看板的な人で、この人に会いに来てるんだろうなぁというお客さんも結構いた。そんな「いい人」である上司が、こんなところで仕事を続ける理由が気になった。

「人が好きだから」

躊躇うことなくその上司はそう言った。

素直にこんな人がいるんだなと感心した。私は、対人恐怖で学生時代は引きこもり状態だったからだ。

人が好きだからなんて理由で、こんなブラックでも長く働けるのか。
たまにいるよなー、どうみてもひどい会社なのにデキるベテランが一人はいたりすること。

当時、新入社員だった私はそんな風に思った。

他にも現場には目を疑うような「いい人」が溢れていた。誰かのためだったら無賃で仕事もできる、そんな精神。
こんな「いい人」にはもう出会えないかもしれないとさえ思った。

だからこそ、成果も出さず、やる気もない、けれど賃金や地位はごっそり持っていく上の連中が憎らしかった。
「いい人」は評価されずに、社会からいいように使われてしまう。そういうことなのかと思った。

いい人ばかりが損をする。そんな世の中じゃ…。

もしかしたら、私が思っているほど、彼、彼女らは損なんてしてないと感じているかもしれない。
けれども、然るべき恩恵は受けるべきではないのだろうか。
サービス残業、サービス休日出勤、ボーナスなし、暮らしていく最低限ギリギリのラインしかないじゃないか。
これはおかしい。絶対におかしい。
ただ、おかしいと気付いてもどうすることもできなかった。

前職には、ブラックから転職してくる者も少なくなかった。
その人は至って前職の過酷な労働環境を、さも自慢げに話してくる。
さらっと「ここも良いとこじゃないですよ」と臭わせるように話すのだが、余計ヒートアップしてきて、

「自分のが苦労してる。世の中には社畜が多い」

と、噛みついてくる。
はいはい、わかった、と。それならどこででも通用するよ、と。白旗を出しておく。
勝ち誇ったような彼女ら。これもおかしい。

ネットの世界でも言えることだが、

会社がこんな待遇悪い!→何が問題なのか、改善しよう!
ではなく。
会社がこんな待遇悪い!→いやこっちの方が悪い、甘えるな!

こんな構図になりやすい気がしてならない。
これでは何も解決にならないではないか。
思考が停止している。

何故、出る杭は打たれるみたいな現象が起こるのか…。
「欲しがりません、勝つまでは」とかなんとか言ってた時代と変わってないじゃあないか。

すると、結局「いい人」たちは、そんな社会の波に飲まれて、出る杭として打たれ続けているようなものなのではないかと思ってしまう。

人がやりたがらない仕事を押し付けられても、文句を言わず、何倍もの成果をだして、でも上の連中とはとんでもない格差がある。

おかしいな。絶対におかしい。

しかし、結局、私はおかしいと思うだけで、ブラック自慢をする思考停止状態のまま、その職場を後にすることになった。