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日々徒然をネットの隅に残す記録簿 気まぐれに更新中

好きなことを仕事にしたが故に図書館は死んだ

「好きなことを仕事にする」、「好きなことで生きる」、本当にこういうのが流行っている。
私は別にそれについて何かを言う立場でもないので、是非について述べようとは思わない。
ただ、これから話すのは、「好きなことを仕事にした」あるいは「好きだからやった」が故に廃れた業界についてだ。そう、図書館業界、幻の職種「図書館司書」の話である。

図書館司書は今でこそ非正規やアルバイトによって間口が広がったものの、正規雇用については未だ狭き門、むしろ正規司書はレア職種と言えるだろう。

※ちなみに司書の採用試験については以前書きなぐっていたよう。
http://imyeden.hatenablog.com/entry/2016/09/26/074809

私も曲がりなりにも正社員司書ではあった。民間正規司書も割りと幻の人材ではないかと思う。
司書が集う会合や研修、勉強会にも出たことがあるので、なんとなく業界の雰囲気みたいなものは知っている方だ。そこで、だいたい見るのが「本が大好き」、「図書館が大好き」といった典型的な好きなことが仕事になった方々。あとは、ビジネスとして図書館経営をされているエリートの方、たまたま異動できた方々などいるが、後者については今回は省く。
とにかく本が好きで好きで堪らないので司書になりました、目指しました、という方々本当に多い。しかし、好きだから良い仕事が出来るかというのはまた別の話である。好きだからこそ盲目的になり、誰のための図書館なのか、そのサービスは適正か、地域で求められているニーズは何かといった所がお座なりになってきたのではないかと思う。

読書って素晴らしいのよ、図書館にきてねと、みんな口を揃えて言う。何十年もそうしてきた結果が、今。図書館司書は職業としての地位は低く、薄給の代名詞となった。自治体で一番最初に予算カット、どんどん民間に委託され、23区の運営はもはや株式会社の巣窟である。独自採用を続けている政令指定都市も、近年から委託が始まったようだ。司書区分の採用自体なくなるかもしれないとすら私は思っている。
何故ここまで分断されてしまったのか。好きを仕事にした人たちは何をしていたのだろうか。

私はその原因を結局は価値を創造できなかったからだと考えている。本人が好きだからといって、その好きなものに万人の理解を得るような「価値」を与えられるかどうかはわからない。
図書館いいよ~、読書は素晴らしい~、絵本の読み聞かせをやりましょう~、まぁそれもそうなのだが。今は電子書籍もある、自動貸出機もある、YouTubeもある、図書館にいかなくても事足りてしまうのである。図書館を価値あるものにできなかった先人の方々。あなたが愛した図書館は死んだ。司書は職業としては確立しなかった。これからはもっともっと分断が進むだろう。

そうは言っても、新しい価値を創造する図書館も現れている。ビジネスマン向けのセカンドオフィスとして機能する千代田図書館、また地域の拠点、ふれあいの場として活用される図書館。
これからの図書館が価値あるものとして機能するためには、徹底的にリアルを追及することだと思う。そして、「私たちは図書館司書である」という選民思想を消すことだ。図書館司書ではなく、自治体職員としての帰属意識、地域のニーズを把握して、改善に努めること、図書館から離れることも必要なのかもしれない。好きだからこそ、一旦冷静な視点で客観視することも必要なのだろう。
今の人材の使い捨て状態では長期的なものは無理かもしれないけれど…………。

それでもやはり図書館司書になりたいという人は後をたたない。何もしなくても委託非正規に人が来るから悪質な求人や業者も溢れている状態だ。
自治体も財政難でどんどん正規職員数は減らされている。この状態では図書館司書という職業はもうなくなると思っている。好きだから~では成り立たない職業もあるし、好きだからでやってきたが故に死んでいく業界というのもあるのではないかと私は思うのだ。